首都圏外郭放水路 特別見学会
1.場所    埼玉県春日部市庄和町 庄和排水機場 

2.日時     平成27年 11月 14日(土)

3.事務所    国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所
調圧水層の上は、グラウンドとして利用されている。広さ13000u

埼玉県春日部市および周辺市町は、荒川・利根川・江戸川などの大河川に囲まれた、低い平地が
広がっている。そのため、中川・綾瀬川の勾配は緩やかで、ひとたび大雨が降るとすぐには水位
が下がらず、これまでしばしば浸水被害をもたらしてきました。

首都圏外郭放水路は国道16号の地下約50メートルに建設された延長6.3キロメートルの地下放水路
。施設は、各河川から洪水を取り入れる流入施設、地下で貯水する施設、地下水路、地下水路か
ら洪水を排出する排水機場等で構成されています。

首都圏外郭放水路の整備は、中川・倉松川・大落古利根川の洪水の際、その洪水の一部を江戸川
へ放流するために各河川間を地下で結ぶ放水路を建設したもので、これにより流域の浸水被害を
解消または軽減している。

首都圏外郭放水路 全体イメージ

庄和排水機場外観(展示施設「龍Q館」・操作室・ポンプ室)

見学施設@調圧水槽

 

地下トンネルから流れてきた水の勢いを弱め、スムーズに流すための巨大プール。荘厳な雰囲
気が漂う、首都圏外郭放水路の象徴的な施設。柱と空間の巨大さから、地下神殿とも言われている。

 幅78メートル、長さ177メートルというサッカーグラウンドほどの広さを誇り、また高さは18
メートルもある。これだけの広さが必要な理由は、緊急停止時に発生する逆流の水圧調整のため。
ここに立つためには、116段の階段を降りることとなる。

ここまで約2時間の入場列

約25万立方メートルの空間が現れる

116段の階段 雨天のためで滑りやすかった

重さ500トン、 長さ7m、幅2m、高さ18mの巨大なコンクリートブロックの柱
調圧水層の浮力を押さえるため巨大な柱となっている。59本設置されている・

排水量毎秒50立方メートルをくみ上げる、直径3.7メートルの羽根車

平成53月から平成186月の13年間で施工。総工費は2300億円だが、69回の稼働で
浸水被害を防いだ効果は、1兆4000億円とも言われる

このインペラ(羽根車)は、特別見学会のみ見ることができる。

国土交通省職員による説明が行われていた。

貯水量は、総延長6.3kmの施設全体で、約67万立方m(サンシャイン. 60 ビル 1 杯分相当)

「定常運転水位」まで水が溜まらないとポンプ運転は出来ない構造
この水位以下の水は、第3立坑のポンプで汲み出す

100段の階段を上って、外に出る

第一立孔 深さ71m、内径約30m、施工中は、シールドマシンの発進及び到達の基地であり、管理車両の搬入や換気設備の取り付けなど、放水路の維持管理にも使われる。

見学施設A排水機場(ポンプ室)

施設概要

洪水流を調圧水槽から巨大ポンプをへて排水樋管に送る役割と、水流を安全制御する役割を持つ。動力のガスタービンエンジンは、航空機用に開発された10300キロワットのエンジンを改造している。

ポンプ室(手前の小さな小屋が、歯車減速機、奥のコンテナにガスタービンエンジン収納
赤い小さなリンゴ状の装置は、火災時沈火二酸化炭素吹き出し口)

【感想】

首都圏外郭放水路 調圧水層を見学して、調圧水層内部のコンクリートが、完成より10年以上経っているにも関わらず、ひび割れが、まったく見当たらない。どのような施工をしたのか、国土交通省のホームページの技術資料を調べた。

首都圏外郭放水路は、直轄工事として全国で初めての大規模地下河川建設事業であった。
立坑本体は極めてマッシブな構造体となるため, 施工計画段階から有害なひび割れの発
生を制限し、地下構造物としての止水性能が満足できるようにすること。施工は、マス
コン対策として低発熱ボルトランドセメントを使用したと説明があった。

河川の重要構造物として、施工や、維持管理がしっかり行われていて、これからも周辺
地域の災害から多くの人の生活を守って欲しいと思います。

国土交通省の排水ポンプ車、照明車、自然災害体験車などの展示もありました。